2012年1月24日火曜日

書迷博客

1月9日(休)
朝から少し時期はずれの初詣、岩槻の久伊豆神社に行く。
帰路、大宮のBOOKOFFで105円の本を五冊。

田中弘『時価会計不況』(新潮新書 2003年初版 同年5刷)
吉田望『会社は誰のものか』(新潮新書 2005年初版)
伊藤信吾『風に吹かれて豆腐屋ジョニー』(講談社 2006年初版)
橋本雅夫『阪急電車青春物語』(草思社 1996年初版)
筒井康隆『文学外への飛翔』(小学館 2001年初版)

時価会計は国際会計基準に基づいて導入が進められてきたが、財務の透明性を高めると言われながら、実はその弊害も多くあることがこの本でわかる。時価会計を採用することでメリットが得られるとされているのは、株主や投資者であり、経営者ではない。これは「会社は株主のもの」という考え方に拠って立つのだが、果たしてそうか。それで「会社は誰のものか」という問題につながってくる。
生まれ育った大阪で最初に乗った電車、もっぱら使った電車は阪急電車で、大手とはいえ関西ローカル私鉄の本が置いてあったのでつい買ってしまう。資料用として買ったのだけれど、いつ資料として使うのかはまったく予定がない。

1月12日(木)
古書店に注文してあった本が届く。

アニタ・ルース『紳士は金髪がお好き』(大和書房 常盤新平訳 1982年初版)

もちろんこないだ映画を見たからで、原作があったとは知らなかった。
面白いことに、訳者の常盤新平はこの映画を「つまらなかったと記憶している」と書いていること、また、原作の翻訳にあたり宇野鴻一郎の文体を借りたとしていること、また原作が日記体ということだ。ここのところ小説とは遠ざかっているけれど、いつか読むつもり。400円(+送料)。

1月13日(金)
夜、秋葉原のBOOKOFFへ。
めぼしい本がまるでない。どうにか一冊だけ買う。105円。

山本昌代『善知鳥』(河出書房新社 昭和63年初版)

文庫版で既読だけれど単行本は持っていないから買う、というのはもうやめようと思っているが、その例外の一人が山本昌代。たぶん、女流のなかでは一番好きな作家だ。何がどういいのか説明ができないのだけれど、この人の文章は肌合いがよくて、文章を読むことそれだけで心地よい。新作がなかなか出ないのが残念でならぬ。

1月14日(土)
午後から図書館へ。
借りてきたのはこんなところ。

いのうえ・こーいち『鉄道趣味がわかる本』(エイ出版社 2008年)
奥宮誠次『世界の動物園』(ランダムハウス講談社 2008年)
『紙とコスト』(宣伝会議 2003年)
北村慶『教えて、金融のこと』(朝日新聞社 2008年)
東京大学株式投資クラブAgents『東大生が書いたやさしい株の教科書』(インデックスコミュニケーションズ 2004年)

はじめの三冊は趣味の本。
なるべく一つのことに固まらないように、でも関心興味のあるジャンルから選ぶ。
資産運用や株式購入にはまったく興味はない。会計経理の本を読んでいるうちに、会計監査や粉飾決算に興味が移り、そこから今度は企業の経済犯罪が面白くなり、さらに会社とはどういうものかに興味がうつり、金融や株式市場も知りたいと思ったまでのこと。そうかそうか。つまりは、仕組みを知るのが好きなのだろう。
ほか、映画のDVDもいくつか借りて、帰路、隣の駅前のBOOKOFFに立ち寄るけれど、やはりここでも読みたくなるような本がない。かろうじて一冊だけ。105円。

岡本吏郎『成功はどこからやってくるのか?』(フォレスト出版 2004年初版 同年3刷)

これだって、別に成功したい、サクセスを目指しているわけではなく、単に著者の名前だけで買ったようなもの。この著者の書くものは、世の中にゴマンとある、やさしく、てっとりばやく、らくらく、を売りにした本を軽く否定するところから始まるのが、天邪鬼としてはかえってうれしい。

1月15日(日)
午後から両国の回向院に行く。
あ、鼠小僧次郎吉の墓があるのはここだったか。持っていると運にめぐまれるとか、お金持ちになるとかで、墓石を削る人があとをたたないと聞いていたが、どうやら今は削ってもいい墓石が用意されているようだ。
また、回向院は場所柄、相撲の力塚があるが、それとは別に大相撲に関係した東京相撲記者碑もあって、そこに弓館小鰐、上司小剣、鶯亭金升などの名前も刻まれている。調べてみたらきっとほかにも面白そうな人もまざっているはずだ。
京葉道路沿いのBOOKOFFに行くけれど、やはりここでも買うものがなく、やはりここでもかろうじて105円の本を一冊だけ買う。

岡本史郎『稼ぐ超思考法』(フォレスト出版 2007年初版 同年4刷)

これもやはり「稼ぐ」目的で買ったのではなく、著者の名前ゆえの購入である。
そのあと、国技館で初場所八日目の相撲見物。

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